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Freccia Celeste

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海へ行こう 

Posted on 18:19:22

 夏休みに入ってからの三連休ともなると世の中の親御さんというのは大変だろうなと、ほとんど引きこもっていた自分が思ったり。

 さて、今回の話は三人称で基本コメディタッチでの作成。しばらく本編は重めの話だったり、死亡フラグだったりするから、軽いものを一つ。







 きっかけはテファの一言。とある暇人が鉄板焼きやっているのを見て、皆でやったら楽しそう、と。ならばと張り切るのは、有る意味ではいつものこと。







 規則正しい潮騒と、風間に漂うむっとするほどの磯の香り。

 初めて海を見た子供達はまずその匂いに、その大きさに、押しては引いていく不思議な波に、そして、おっかなびっくり確かめた味に驚いた。

 それでも、子供というのは好奇心の塊のようなもの。水着を用意してあると聞くなり、その場で着替えてしまう。そうして一人が飛び込めば、あとは止まらない。次々に飛び込んで、初めての海を全身で満喫する。

 浜辺では、一仕事の真っ最中。エレオノールとマチルダが、十分にキッチンと呼べるものを錬金で作り上げる。屋根の下に、炉はもちろん、氷を詰め込んだ氷室もとなかなかに手が込んだもの。

 そして、男達がそれぞれの役目を果たす。

 火の前には、シキ。二つの炉には、それぞれ網と鉄板。網の上には肉をはじめとして、先程まで海にいた魚に海老、中々に大振りの貝とがジュウジュウと音を立てる。鉄板の上には、こういった場では欠かせない焼きそば。肉に魚介、ソースの焦げる香りが磯の香りに混じり合い、存分に海を感じさせる。半袖のシャツから覗く紋様も、有る意味では似つかわしい。

 ウリエルはフルーツを。皆の喉を潤すのに十分なフルーツを絞ると、氷室へと仕舞う。そして、手慣れた手つきでフルーツをカットしていく。食べやすい大きさにするのはもちろん、器代わりにと大きめのフルーツの表面に細やかなカービングを施していく。

 男手はもう2人いたが、この場にはいない。アルシエルはデザートの下拵えをそこそこに、ちょっかいをかけてきた貴族のボンボンらしき者とお話し合いに。オンギョウキは一度海に潜って食材調達後、二度目の調達に向かっている。






 子供のようにその場で着替えるというわけにはいかなった女性陣が、続々と戻ってくる。水着は、とある人物がそれぞれにと手配したもの。

 一番最初に戻ってきたのはシルフィード。本人は水着なんていらないと強情に嫌がったが、言うなれば食欲に負けた。ともあれ、中身はともかく、外見は十二分に成熟した女性。腰もとの大きめのリボンだけを飾りにした、シンプルな青のチューブトップ。だからこそ、女性らしいメリハリのきいたボディラインが際立つ。例えば、一直線に肉に向かって走ってくるのに合わせて激しくはずむ胸もとなど。

 次に戻ってきたのは、マチルダにテファ。姉妹だからと揃いではあるが、その印象は随分と異なる。

 マチルダはエメラルド色の髪を半ばから無造作に結び、均整のとれた一切の無駄のない体に、黒のビキニ。豊かな胸を持ち上げるカップの紐は首元でクロスして鎖骨から背中へと回り、何かを考えるような物憂げな表情と合わせて、どこか背徳的な香りさえ漂う。

 テファはマチルダと同じデザインの水着で、ただ、色が白ということだけが異なる。しかし、一番の違いはその胸。マチルダとて遥かに平均を上回るというのに、それに大差をつけるというのだから。あどけない表情、そして、体にもまだまだ子供らしい柔らかさを見て取れる中でのそれは、マチルダとは違った意味での背徳感を漂わせる。


 そして、エレオノールにルイズ。こちらも、姉妹ということでデザインは揃いのもの。

 エレオノールの胸をゆったりと覆う、薄紫と空色とが鮮やかな二重のフリル。ほっそりと、ともすれば折れそうなほど華奢な体。下は、敢えて上部とは異なる、黒と白のストライプ。常のきっちりとしたコーディネートとは異なる、どこか儚さを感じさせる装い。物憂げな表情がよく映える。

 ルイズは、エレオノールと同じデザインではあるが、色がちょうど反対。そして、スレンダーなエレオノールと違って、胸の大きなフリルが子供らしい可愛らしさにつながる。にこやかな笑顔も、──しかしこれは本心とは正反対なのが残念か。

 ルイズがエレオノールと共に、水着を選んだ人物の元へと向かう。

「私達のことをよーく考えて選んでくれたのは分かるけれど、なんで胸を隠すというの主眼になっているのかしら? そりゃあ、ね、ウラルよりも、サラサよりも小さいけれどね。少しばかり、小さいけれどね」

 件のウラルとサラサは、離れた場所から恐々と様子を伺う。ウラルは肩が大きくあいた、首元から一体になった白のレオタード。諸事情もあり、下はフワリと広がるフレアスカートを象ったもの。サラサは同じデザインの黒で、真っ白な羽とのコントラストになっている。そして、二人とも、ルイズよりも、エレオノールよりもはるかに胸元は豊か。幼い容姿ながら、二人を圧倒している。

 そして、詰め寄るルイズとエレオノールに、マチルダも加わる。

「一つ気になったんですけれど、なんでテファの胸のサイズを完璧に把握していたんでしょう? 大きいからこそ、見ただけで分かるなんてこと、あるはずがないんですけれど」










「遅かったですね」

 戻ってきたアルシエルに、ウリエルが話しかける。

「ええ、少しばかり常識のない方々だったので。それと、これはお土産です」

 手には鮮やかな赤ワインとブランデーが数本。

「ジンジャーエールが有りますから、キティでも作りましょうか。見た目も華やかですし」

 アルシエルは笑う。

「では、私はアイスクリームの隠し味にブランデーを。少しだけなら子供でも大丈夫ですからね」








 ボコボコと海面が泡立ち、漁に出ていたオンギョウキが顔を出す。巌のような肩には、蟹やら貝やらがたっぷりと入った網。すると、すっかり海に慣れた子供らが、すごいすごいと集まってくる。今度は連れて行ってとねだる子も。子供にまとわりつかれた彼は考える。

「もっと大きくなったら、だ。今は沢山食って大きくなれ。──それと、引っ張るな」

 彼の股下からは、白い布がひらひらと漂っている。





 実は泳げなかったサラサにルシードが泳ぎを教えようとするが、中々うまくいかない。せっかくの羽も、水の中では重りにしかならない。

「うぅ……、背中が……重い。沈む……」

「胸は浮いているのにな。テファ姉ちゃんは泳ぎは得意だし」

「……ルシードの、えっち」








 シルフィードは、網の前から決して離れない。常になく、真剣な眼差しで網を見張っている。

「ねぇ、お兄様、まだ食べちゃダメ?」

「まだ生だ」

「シルフィ、生でも大丈夫なのね?」

「子供が真似をするからダメだ」

「……じゃあ、ヤキソバで我慢するのね」

 そして、10人分はあったろう鉄板が空になる。

「相変わらず、よく食べるな」

「これぐらい普通だし、それに、お姉様にも食いだめしてこいって言われたのね」

「……そうか。よく食べる、からな」








 テファのグラスが空になる。見た目にも華やかなフルーツをあしらったカクテルに、ついついテファのペースも早い。既に、5杯目だろうか。そろそろ止めた方が良いのかとウラルは迷うが、普段よりもぼんやりとしたテファの目に、心を決める。

「あの、テファ様。そろそろ控えた方が……」

 テファは首を傾げる。

「んー、もう一杯だけ……。ダメ?」

「ええと……」

「……ダメ?」

 テファの表情が、みるみるうちにくもる。

「ううぅ……。ええと、ウリエル様ぁ……」

 しかし、頼みの相手もどこか思案顔。

「さて……。最近はストレスも多かったでしょうし、度を越さなければたまには良いでしょう。呑み過ぎても、一度は自分の限界を知るのも必要ですし。知らないままの方がかえって危ないすからね」

「──では、アイスクリームなどはいかがでしょう?」

 にこやかにアイスを勧めるアルシエル。テファは喜んで受けとるが、ウラルは気になことが一つ。

「あの、お酒の匂いがするような気が……するんですけれど」

 アルシエルは口元に手をあて、悪魔のように笑う。

「……暑い」

 どこか胡乱なテファの声。そして、いそいそと水着に手を掛ける。意図を理解したウラルは慌てて押しとどめる。

「テファ様、水着を脱いでも変わりませんから」

「そう……かな?」

「そうです」

「でも、やってみないと分からないよ?」

「やらなくても、分かることはあります」

「じゃあ、ウラルちゃんが脱いで?」

「えっと、なぜ……?」

「んー、なんとなく?」

「私は別に、暑くないんですけれど……」

「じゃあ、やっぱり私が脱ぐ?」

「……私が脱ぎます」







 マチルダとエレオノールは、即席のテーブルで静かにグラスを傾ける。二人の視線は優しい。視線の先には、泳いだ後にお腹一杯になって寝てしまった子供。本当に幸せそうに眠っている。

 エレオノールがマチルダに微笑みかける。

「マチルダさん、子供って本当に可愛いですね」

「ええ、とっても可愛いんです。だから、辛くても、私も頑張れたんですよ」

「分かる気がします」

「ええ」

「所で……」

 エレオノールは至極真面目な表情で続ける。

「後ろからすると子供ができやすいって、本当でしょうか?」

「真面目な顔でそういうこと言うの、やめてもらえません?」







 居室で黙々と執務こなすイザベラ、ふと、その手が止まる。視線も窓の外へ、ずっと遠くへ。

 ビダーシャルは読んでいた本を閉じる。

「──行きたければ、一緒に行けば良かったろうに」

 イザベラは息を呑み、そして、ため息。

「嫌味なぐらいに的確に人の考えを読むんじゃねえよ」

「今の状況を鑑みるに、参加しても問題はあるまいよ」

「まあ、そうなんだが……。それでも、ルイズには気を使わせることになるだろうが」

「──そうか」









「──これはなんだ? ビダーシャル?」

 問いかけるイザベラの前には、石組みに網。パチパチと、程よい炭火が炊かれている。

「見ての通りだが? 行軍の訓練で一通りのことはこなすからな」








「熱いものは熱いうちにというのは真理だな」

 イザベラの言葉に、ビダーシャルとファーティマがうなずく。

「しかし、だ。何で私が焼いているんだよ? 腐っても王女だぞ?」

「なら、変わるか? 私は別に構わないが」

「いや、お前の料理は、……雑だ」

「じゃあ、私が……」

「分かっているよ。言っただけだよ。だからそんなに不安そうな顔をするなよ。ただ、ファーティマ、お前は旦那に手料理の一つぐらい作れるようになれよ」

「──旦那。……えへへ」

「……はいはい。そら、もう焼けているんだから、焦げないうちに食えよ。勿体無いだろうが」










 次の日、トイレで、散らばった鳥の羽の中で死体となったテファ──もとい、死体のようになったテファが発見された。




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